【前編】FP法とは?システム見積もりでの重要性

システム開発では、コストを正確に見積もることがプロジェクトの成功のカギとなります。正しい費用や時間を見積もることは、プロジェクトの進行管理や予算に直結するため、非常に重要です。しかし、システム開発に不慣れな人にとって、これを正確に見積もるのは難しいことが多いでしょう。そこで、多くの企業で活用されているのが「FP(ファンクションポイント)法」です。

この記事では、FP法とは何か、そしてシステム見積もりにおいてなぜ重要なのかを、わかりやすく解説していきます。

1.システム開発におけるコスト見積もりの問題点

システム開発では、コスト見積もりがプロジェクト成功の鍵を握る非常に重要な要素であるといっても過言ではありません。
正確なコスト時間の予測ができるかどうかは、プロジェクト全体の予算管理やリソース配分に直結します。
しかし、システム開発に慣れていない人にとって、これを正確に見積もるのは容易ではないでしょう。

なぜ見積もりは難しいのか?

まず、システム開発プロジェクトには多くの要素が絡み合っており、それぞれが異なるリソースを必要とします。
例えば、要件定義・設計・開発・テストなど、各段階で必要な作業量やコストは異なり、その上開発するシステムが複雑であればあるほど予測が難しくなります。

さらに、プロジェクトの見積もりが不正確だと、予算超過や納期遅延といった大きな問題を引き起こしやすくなります。システムの複雑さや必要な機能をどのように数値化し、見積もりに反映させるかが、プロジェクトの成否に直結します。

こうした課題に対処するために多くの企業が採用しているのが「FP(ファンクションポイント)法」です。
この手法は、システムの規模を機能ごとに数値化することで、コスト見積もりを標準化し、より正確に行うための方法です。

2.FP(ファンクションポイント)法の基本と背景

FP法とは?

FP(ファンクションポイント)法とは、システム開発プロジェクトの規模を定量的に評価し、コストやリソースを見積もるための標準的な方法です。
FP法は、システムの「機能」を基準にすることで、技術的な複雑さに関わらずシステムの規模を評価することができるため、プロジェクトの初期段階から適用可能です。また、現在でも多くの国や業界でシステム開発における見積もり手法として広く使用されています。

FP法の歴史とIFPUGについて

FP法は、1980年代にアラン・アルブレヒトによって提唱され、その後、国際ファンクションポイントユーザーグループ(IFPUG)により標準化されました。現在もIFPUGは、FP法の改良やガイドラインの策定を行っており、世界中の企業やプロジェクトで広く採用されています。

IFPUGのガイドラインでは、システムの機能を5つのカテゴリーに分類します。

  1. 外部入力(External Inputs)
  2. 外部出力(External Outputs)
  3. 外部参照(External Inquiries)
  4. 内部論理ファイル(Internal Logical Files)
  5. 外部インターフェースファイル(External Interface Files)

これらの機能は、それぞれ複雑さに応じた「重み付け」によって評価され、その結果、プロジェクトの全体的な規模が計算されます。このように標準化された手法に基づくことで、システム規模の測定が一貫性を持ち、異なるプロジェクト間でも比較可能な見積もりが行えます。

3.FP法が重要な理由

客観的な評価基準

FP法は、システムの技術的な要素よりも、実際に提供する「機能」に基づいて規模を評価します。これにより、プロジェクトごとに異なる技術的要件があっても、一貫した基準で見積もりを行うことが可能になります。

例えば、A社のシステムとB社のシステムが異なる技術スタックを使っていても、機能が同じであれば、FP法を使うことで同じ基準で評価できます。これにより、見積もりの精度が上がり、プロジェクトの効率性も向上します

見積もりの精度向上

FP法は、システムの機能に焦点を当てているため、プロジェクトの初期段階から精度の高い見積もりが可能です。技術的な詳細がまだ確定していない場合でも、システムの機能を基に規模を数値化できるため、予算やリソースの計画が立てやすくなります。

プロジェクトの効率化

FP法は、標準化された手法であるため、異なるプロジェクトや企業でも同じ基準で評価を行えます。これにより、見積もり結果を他のプロジェクトと比較しやすくなり、プロジェクトの進行を効率化できます。たとえば、Aプロジェクトで得られたFP法の見積もり結果を、Bプロジェクトでも参考にすることで、より正確な予測が立てやすくなります

経験の浅いチームでも使える

FP法のもう一つのメリットは、初心者でも理解しやすいことです。技術的なスキルが高くなくても、システムの「何をするか」という機能に基づいて見積もりを行うため、プロジェクトの初期段階から導入できるのです。これにより、経験の浅いチームでも、一定の精度で見積もりが可能になります。

まとめ

FP法は、システム開発のコスト見積もりを標準化し、正確性を高めるための強力なツールです。特に、初心者や経験の浅いチームにとっては、技術的な知識に依存せず、機能に基づいて見積もりを行うことができるため、非常に便利でしょう。
基本を理解すれば、見積もりの精度をぐっと高めることができます。

しかしながらFP法は見積もりの手法の一つであり万能なツールではありません。目的や状況によって使い分けることが必要です

次回の記事では、FP法の具体的なステップについて解説し、どのようにシステムの機能を分類し、評価するかについて紹介します。

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この記事を書いた人

gyz
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